「海外ひとり旅ならどこですか?」
平均で年に8回旅をしていると、会社でも「次はどこに行くんですか?」としょっちゅう聞かれます。
つい先日、後輩の女の子に「はじめてのひとり旅で海外に行きたいんですけど、どこがおすすめですか?」と質問されました。
その時話したことを残しておこうと思います。
初めての海外ひとり旅にあたって
はじめてのひとり旅の旅先を挙げるにあたり、前提が2つ。
①海外自体は何度も行ったことがある
②旅行で意思疎通ができるぐらいの英語力はある
①については、海外に行ったことがなく初めての海外で初めてのひとり旅はハードルが高いと思います(英語が堪能な人を除く)。海外旅行もひとり旅も両方が初めてだと、リスクも倍になる気がする。ひとり旅の経験がなくても海外へ行った経験があれば、治安やインフラやコミュニケーションスタイルが日本とはちがうこと、日本ではない場所へおじゃまするということが体験としてわかっていると思うので、ひとり旅が初めてでも海外への心構えがある分楽しめるはず。
そして②の英語力。たとえアジアでも非英語圏でも、日本語はほとんど通じなくても英語ならなんとか意思疎通ができたりします。空港では会話はほとんど必要ないものの案内や地図の読み取り、ホテルでのチェックインとチェックアウト、レストランやカフェでの注文、道順やトイレの場所の質問ぐらいはできた方が自分が楽です。
①と②を満たしている人向けの、はじめての海外ひとり旅を考えました。
さて行き先をどう決める?
基本的な考えとしては、「行きたいところが行くべきところ!」だと思っています。それがフランス語圏であろうと、スペイン語圏であろうと、アラビア語圏であろうと、行きたい気持ちが困難を吹き飛ばしてくれるものなので、貫くべき。
どこがいいのかなあと行き先に迷う時、ひとり旅が選択肢に挙がる時は、「本当はだれかと行きたいけど休みが合わない」が理由のひとつかなと思います。(「ここに行きたい!行く人がいない!」というパターンもあると思いますが、行きたい場所がある人は止められても行くのでここでは割愛)
そういう“海外に行きたくて、でも一緒に行く人がいなくて、でもそれでも行きたい”という状況の海外ひとり旅デビューの行き先について、まとめていきます。
これだけは譲らないポイント
まずひとり旅デビューで最も譲らないでほしいポイントは、【直行便】。
乗り継ぎは単純に乗り継ぎ地での時間が最低でも50分は発生するし、ロストバゲージのリスクが直行便と比べて格段に上がるし、最初の便が遅れた時の対応や次の便のキャンセルなど不可抗力のトラブルの可能性もあるしで、負担が大きいです。
はじめてのひとり旅であれば、直行便で行ける場所のなかから選ぶ、ぐらいの気持ちでよいかなと思います。
【直行便】をおさえたうえで、女子のひとり旅の旅先選びの基準にすべきポイントは5つ。
① リゾートよりシティ
リゾートにひとりは、のんびりしたいと思っていてもかなり孤独っぷりが強いです。周りはカップルか家族連れか友人かグループなので、ナチュラルにテンションが高い状態。そんななかでひとりで過ごすのは、どんなに好きでひとり旅をしていてもちょっと寂しい……。まわりの雰囲気があまり気にならないタイプでも、何度かリゾートひとり滞在にチャレンジしましたがひとり感とすることがない感が強かった思い出。
② 治安:夜もひとりで歩けるか?
いろいろな観点がありますが、私が目安にしているのは「日没後でもひとりで街を歩けるか」。繁華街があり、夜の店じまいが早すぎず、現地でも女性がひとりで行動する慣習がある街が心理的に安心。
③ 公共交通機関:電車で移動できるか?
電車で移動できることが個人的なベストです。あらかじめ路線と停車駅が明確、乗車前に切符を機械で購入できる、時間の目処がつきやすい、乗り過ごしたり間違えたりしても簡単にもとの場所に戻れるなど、電車は最高の移動機関。
バスもスポットからスポットへダイレクトに移動できて使い方によっては便利ですが、事前にルートがわかりづらく停留所の度に「ここかな?」とハラハラするので落ち着いて乗っていられない(かつ英語が通じる運転手さんがほとんどいない)のと、渋滞や事故の可能性があるのとで、電車の方が確実でおすすめ。
④ ひとりごはん文化:ひとりで気軽に食べられる風土
ひとりで気軽にごはんを食べられる風土かどうか、これは一見地味ですが極めて重要。旅人がひとりで食事していても好奇の眼差しを向けられないオープンなカルチャーの方が、断然旅しやすいです。
⑤ 愛想がよい:愛想がない国だと心折れがち
これは完全に文化に依拠するのですが、穏やかで笑顔がある国の旅のしやすさったら。日本のサービス業は時に過剰すぎるけれど世界的にも類を見ない最高レベルなので、おなじようなレベルの期待はぜったいに持ってはいけないのですが、おなじような礼儀正しさもしくは“人なつっこさ”がある国はそれだけで何倍も旅しやすいです。
それで結局どこがおすすめか?
①から⑥を全部満たす場所はというと、私が行ったところのある場所のなかでは台湾、香港、バンコク、クアラルンプール、シンガポール。
※ソウルはひとりごはん文化がない(格段に増えてきてはいます!)、ベトナムと中国は言葉と愛想が初めてのひとり旅にはなかなかに厳しいので除きました
※オーストラリアは行ったことがないので割愛
ロンドン、パリ、ニューヨーク、サンフランシスコあたりも条件は満たしますが、移動時間が長く、到着する頃に疲れがどっと出やすいんですよね、ひとりならなおのこと。海外ひとり旅に慣れるという点でも、まずは行きやすい近場で1都市をおすすめします。
「海外ひとり旅デビューにおすすめの街」を挙げるにあたり、どの都市もぜんぶちがってぜんぶ良い、というのが本心。
なので、都市としての機能や優劣の話ではなく、あくまで「女子がひとりで初めて海外旅行をするならば、総合的に見てどこが向いているか」を個人的な体験からまとめていきます。
特に定まった目的はなく、「観光しておいしいもの食べてちょっとお買い物やスパも楽しんでそこそこのホテルでのんびりしたいな」という思いに応えるものと想定しました。
※わかりやすく比較するために、上記の5つの項目を各10点満点、合計50点満点で表します
1位:バンコク 49点
純粋に私がタイマニアという点を除いても、バンコクはなにもかもがひとり旅にうってつけすぎます!長くなるのでタイについては別記事(街図鑑「バンコク_すべてが98点シティ」)でまとめますが、とにかくすべてが満点に近い街。
観光もショッピングもスパもルーフトップバーもホテルステイも夜遊びも、すべてが揃って飽きないのに物価が安いので、天国かと錯覚します。
シティ度:10点
シティもシティ、大都会、デパートからマーケット、ホテルスパから街のマッサージ屋、高級レストランから屋台まで幅が広い広い。
治安:9点
夜遊びも楽しい街、バスや電車が走っている時間までは大通りや観光地では治安は気にしなくて大丈夫。
公共交通機関:10点
BTS(高架鉄道)とMRT(地下鉄)で主要エリアはだいたい行ける。ワットポーなどの寺院エリアへは船でアクセスできるのもエンタメ性があってバンコクならでは!
ひとりごはん文化:10点
家で料理する文化がなくひとりで屋台やレストランで食べてもだれも気にしない、多様性すごい。百貨店やショッピングモールにはだいたいフードコートがあるので、ひとりごはんが圧倒的にしやすい。
愛想がよい:10点
微笑みの国の愛称は本当。観光客慣れしているし自然な笑顔なのでほっとする。
2位:台北 48点
台北はわずか4時間と気軽にふらっと行けるのがすばらしい。漢字圏なのでなんとなく理解できるのも旅しやすい理由のひとつ。台北はグルメ目的が楽しい気がします。
シティ度:9点
東京と変わらない都会具合。百貨店も高級ブティックもタワーもあるけれど、街全体がどこかのどかというか下町っぽさが残っているのが台北ならでは。
治安:10点
治安はかなり良いと思う。街灯がなくて暗い路地は結構あるけれど、中心部などは問題なし。
公共交通機関:10点
電車もあるし、タクシーもあまりぼったくられるとは聞かない。バンコクより高い満点にしたのは、至る所にレンタサイクルが設置されているから。自転車の使い勝手が良すぎて、ちょっとした移動は自転車が楽しい。
ひとりごはん文化:10点
朝食専門店がある台北、ひとりで食べている人もたくさん。飲茶や中華はひとりだとちょっと寂しいものの、ひとりでもぜんぜん余裕です。
愛想がよい:9点
日本人に優しい人が多いのは本当。老若男女、基本的にあたたかかった。
3位:香港 45点
香港は、こんなに小さい街がよくぞこんなにも発展なさったな……!という感嘆の気持ちになります。バンコクと近く、シティの要素は完璧に備えていて、かつ英語の通じやすさはシンガポールを除くとアジア随一では。
シティ度:10点
夜景に象徴されるように都会っぷりはすごい。高層ビルも高級ホテルも高級レストランも揃っているし、女人街のような下町も残っているし、ある意味でアンバランスなところが魅力。
治安:9点
ひとりで歩くのにまったく問題がない。こんなにも安心して歩ける街もめずらしいのではと思う。
公共交通機関:10点
香港は乗り物が多彩で、街ごとアミューズメントパーク風。地下鉄、オープントップバス、トラム、スターフェリーと、どれも正しく交通機関ながらどれも等しく乗っていて楽しい。
ひとりごはん文化:9点
選択肢も多く食には困らない。ただ高級レストラン系が雰囲気的にひとりだとちょっと行きづらいかも。文化的に大勢でワイワイするのが好きなので、ぽつんとしてしまう。
愛想がよい:7点
ホテルはべつとして、店員さんにあまり愛想は期待しない方がよい。
4位:シンガポール 42点
シンガポール、東京と似た雰囲気を感じます。清潔で安全で、安心して歩き回れる。ただちょっと面白みに欠けるというか、きれいすぎて抜け感がないというか、数多の国からシンガポールを選ぶに値する突き抜け感は弱いかなあという印象。
シティ度:9点
都会も都会。都会でしかないといってもよいぐらい。セントーサ島もあるけれど、どこまでいっても都会感。
治安:10点
治安のよさがアピールになるほどに安全といわれています。
公共交通機関:8点
もちろん電車はありある程度は活用できるものの、駅から徒歩10分などが多くてかゆいところに手が届ききっていないイメージ。
ひとりごはん文化:8点
ホーカーズ(屋台村)が充実していて、いろんな味を楽しむことができる。
愛想がよい:7点
愛想という点で特筆するなにかを感じたことはないかもしれない……英語でストレスなく意思疎通ができるという点で愛想という概念を考慮しなかったからかも。
5位:クアラルンプール 40点
直行便で行ける都市。ロングステイ財団によるロングステイ先人気ランキングで13年連続1位に輝くほど、暮らす場所としての人気が高い。さまざまな点でバランスが良い街。
シティ度:8点
バンコク贔屓という私の好みもあるのですが、バンコクと比べるとショッピングやスパの種類やクオリティはちょっと下がるかなという印象。でもバンコクよりも魅力な点がひとつあって、ラグジュアリーホテルが世界一安い。マンダリンやリッツ、シャングリラなど、日本の半額以下で泊まれます。
治安:8点
高級ホテル付近、巨大ショッピングセンター、繁華街は、ひとりで歩いていても全く問題なし。夕方以降は街灯が少なく暗い道は避けて、大通りメインで歩きたい。
公共交通機関:8点
おおよその観光地は電車で行けます。
ひとりごはん文化:8点
ショッピングセンターにはフードコートもあるし、カフェにひとりで入っても中華料理にひとりで入っても違和感なし。ただイスラム教ゆえお酒が高く、バンコクと比べるとその自由度は低いかなと感じる。
愛想がよい:8点
特に愛想がよいともわるいとも、というのが正直な感想。
結論、バンコクに1票
ということで個人的なおすすめはバンコク!に尽きますが、目的によって上記以外が基準になることもあるし、街との相性もあります。
ひと通り行ってみて好きな国を見つけたらリピートするというのがいちばん満足度が高くなるので、まずはピンときた場所に行ってみてひとり旅に慣れてみるのがよいかなと思います。