さくっと東南アジアなら

旅勝手のよい東南アジア

「すこし仕事が落ち着きそうだからさくっと、でもがつっと気分変えたいな」と思った時の旅先で候補に挙がりやすいのが東南アジア。

距離的にもコスト的にも、韓国や台湾ほど身近すぎず、ヨーロッパやアメリカほど気合いは要らず、ちょうどいい旅先です。

36か国訪れてきたなかでも東南アジアは好きで、タイやベトナムを筆頭に定期的に行きたくてたまらなくなります。

ひとり旅、恋人と、女子と、グループで行ったことがあり、そのスタイルもバックパッカーからコスパ重視、ラグジュアリーまでさまざま。

観光、グルメ、のんびり、ホテルステイなど目的も都度異なっていて、スタイルや目的を組み合わせると何十パターンにものぼります。

「さくっと行くならどこがおすすめ?」

よく聞かれるのが「3泊とか4日間ぐらいでさくっと盗難アジア行くならどこがおすすめ?」という質問。

その都度、質問者の海外経験値や「なんでアジア?」「なんで旅行したいの?」を聞いてからおすすめ。毎回回答に一貫性があり汎用性があると思ったので、ここに残しておきます。

「数時間で行けるフライト時間の短さと海外感の強さから漠然と東南アジアかなと思うものの、具体的な都市ごとの特徴まではわからないなー」という人向けです。

都市ごとの特徴をざっくり把握する入口になれば……!

さくっと、を実現するために

「さくっと」を求めるなら、まず必須条件に挙げるのが直行便。

たとえばバリ島は直行便だと片道およそ7.5時間(往路)。直行便がフルサービスキャリア1社のみ(ガルーダインドネシア航空)、LCCも撤退し2019年7月現在は飛んでいないため、乗継ぎ便を利用する人も多い都市です。

私も基本の考えは時間と手間と料金の総合的なコストパフォーマンスがベースなので、乗継ぎ便ももちろん利用しますが、アジアなら直行便一択。

今回のテーマ「さくっと東南アジア」を考えると、直行便で行ける都市から旅先を選ぶのが賢明です。

乗継ぎはフライト遅延で到着できなかったり預け荷物が行方不明になるロストバゲージだったりとリスクが高くなるのは事実なので、時間とリスクとを総合的に考えると直行便が飛んでいる都市を候補にするのがベスト。

直行便が飛んでいる都市は?

東南アジアで直行便が飛んでいる都市は12都市あります。今回は私が訪れたことがある8都市についてまとめていきます。

気分別・目的別の向き不向きと乾季や雨季などのシーズンがわりとはっきりしているので、「さくっとXXならここ」「X月ならここ」を探すヒントになれば。

タイ・バンコク(シティ)

【グルメ】◎

タイ料理も多国籍も、高級もB級も、なんでもおいしい。辛い料理が多い。ココナッツやパクチーなど癖が強い食材がわりと何にでも入っているので、苦手だとつらいかも…。もちろん辛くない料理もあります。あらゆるデパートやショッピングセンターにフードコートがあるので、気軽にいつでもごはんができる。

【ショッピング】◎

ハイブランドが入るデパートも屋台が並ぶ巨大マーケットもある。最近はタイ人デザイナーのブランドも活況とのことで、ショッピングセンター「サイアムディスカバリー」などで出会えます。短期間でのショッピングなら、サイアム系かセントラル系のデパートが便利。

【スパ】◎

ラグジュアリーホテルスパから1時間500円のフットマッサージまで。タイ発の高級ブランド「パンピューリ」「THANN」「HARN」のスパがタイならではなので断然おすすめ。

【物価】◎

コンビニでは東京の2分の1から3分の1。
ホテルも1人1泊1万円で5つ星に泊まれてコスパ良し。
高級レストランは日本とおなじぐらいするところも。

【人懐っこさ】◎

「怒るのは恥」という文化らしくおだやか。人に癒やされるというのは実は大きなポイント。

【空港から中心部へのアクセス】◯

メイン空港のスワンナプームはタクシー、電車、バスが揃っている(ドンムアン空港は鉄道、タクシー)。市内中心部まではスワンナプーム空港からが渋滞なしで45分ぐらい、ドンムアン空港からは30分ぐらい。渋滞時は倍ぐらいかかることもざら。

【どんな気分に向いてる?】

好き放題やりたい時!
5つ星ホテルで寝坊して、朝食食べて、プールで泳いで、暑いうちはスパにこもって、涼しくなってきたら街歩きがてらデパート見て、おめかししてちょっといいレストラン行って、ルーフトップバーでカクテル飲んで、クラブっぽくなるバーに移動して夜更かしする。
元気がある時はグルメもショッピングもバーもはしごできるし、元気がない時はワットポーに癒されてチャオプラヤ川沿いでぼーっとしてスパで解毒するコースへ。

【なにを目的にする時に向いてる?】

発散、解放。
ストレスが溜まっている時って自分の自由にできないことが増えている時だと思うんです。
時間もお金も体力も、心おきなく自分のしたいようにできる選択肢の種類と幅がめちゃくちゃ広いので、ストレス発散と欲望の爆発に向いてる街、それがバンコク。

個人的に懐の深さはダントツNo.1!!!
単純に私がタイフリークということを差し引いても、これだけバランスのとれた場所は広い世界でもそうないのでは!?!?と思う。
ゆるーい国なので、なんでもできるし、観光客が世界一多い都市なので観光客にも慣れてるしで、タイ好きすぎて語りだすと止まらないので、タイの話はまた別途。

【いつがベストシーズン?】

雨が少なく幾分過ごしやすい乾季は11-2月頃。でも乾季でも昼間は汗だらだらになります。9-10月の雨季は突然のスコールにバンコク市内が洪水になることも。4-5月の暑季は本当にうだる暑さ。暑季という言葉が見事にあてはまる。


ベトナム・ホーチミン(シティ)

【グルメ】◎

ベトナム料理は言うまでもなく、フランス料理もおいしく、フュージョンも楽しめる。コーヒーやパンもハイレベル。ヘルシーなのがうれしい。

【ショッピング】◯

雑貨がかわいい。かごバッグや刺繍やお弁当箱などしこたま買ってしまいがち。ローカルのショップや市場でこまごまと買い物するのは楽しい。一方ハイブランドのショップはまだほとんどない。

【スパ】◯

店舗数は多いものの、ラグジュアリーからローカルまでのバラエティとクオリティはバンコクの方が多彩。

【物価】◎

ごはんも雑貨もとってもリーズナブル。

【人懐っこさ】×

初めての東南アジアがベトナムだったのですが、主に市場やタクシーの愛想のなさと強気とに心折れました。。高級ホテルやレストランでもタイほどのあたたかさはないかな。

【空港から中心部へのアクセス】△

タクシーの一択。そもそも電車がまだ通っていない。料金は安いけれどぼったくりの心配が常にある。

【どんな気分に向いてる?】

ノスタルジックで特有の建築があってバイクがたくさん走っていて市場に活況で……というTHEアジアの喧騒を求める時はホーチミン!

市場での交渉など自分もたくましくいないと旅を楽しめないから、思ったことを外に出し続けると自然とストレスが解消されるという点で、ストレス解消にも向いている。

【なにを目的にする時に向いてる?】

これほど西洋とアジアの融合が今も残っている街はほかにほとんどないのでは、と思うのと、フレンチとベトナミーズの塩梅が絶妙なので、建築とグルメ好きにはたまらない。

個人的には、ベトナムは底抜けの明るさはなくて、どこか陰のある雰囲気を感じます。トラン・アン・ユンの映画、「夏至」「シクロ」「青いパパイヤの香り」の雰囲気が今も残っていて、社会主義特有の無愛想さや商魂のたくましさを随所に感じ、迎合しない強さが特徴というか。そこがすごく惹かれる所以かもしれない。媚びなさが清々しい。

これは私の体験に由来するのでベトナム人全体がそうとはもちろん思っていないけれど、東南アジアデビューがタイでどうしてもタイが基準になっている身には、ベトナムは対比が鮮やかな国。

疲れると、「マジェスティックのリバービューに泊まって雨の音を聞きながら本を読みたい」という気分に猛烈にかられます。

【いつがベストシーズン?】

11-4月が乾季、5-10月が雨季。ホーチミンは雨が似合う街なので、私は雨季も好き。

ベトナム・ダナン(リゾート)

【グルメ】◎

ホーチミンとはまたちがう中部料理。中部3大名物があります。海辺なのでシーフードも。

【ショッピング】×

高級デパートの類はない。

【スパ】○

ホテルのスパがサービスもクオリティも安心。

【物価】○

リゾートのためベトナムのなかでは高い方だけれど、総じてリーズナブル。

【人懐っこさ】×

高級ホテルはもちろんサービスの質は高いものの、基本的には愛想がある方ではない。

【空港から中心部へのアクセス】△

公共交通機関なし、タクシーでも10分ほどで到着するリゾートも。

【どんな気分に向いてる?】

アジアのなかで直行便で行けるリゾートは実はダナンとセブ島とバリ島ぐらい。

セブ島に比べてごはんがおいしくて、バリ島ほどリゾート開発されすぎていないという点でダナンは“手軽にリゾート”にマッチする場所。

【なにを目的にする時に向いてる?】

大規模な繁華街はないので、あくまでメインはビーチとホテルステイ。“さくっとリゾート”に向いているのがダナン。

リゾートに飽きたら旧市街が世界遺産に認定されている小さな街・ホイアンにも1時間ぐらいで行ける。

【いつがベストシーズン?】

5-8月が海も楽しめる乾季。

マレーシア・クアラルンプール(シティ)

【グルメ】◯

中華、マレー、ニョニャ(中華とマレーのフュージョン)、エスニックと、バリエーション豊富。ラクサ(ヌードル)、カヤトーストなど、特有のメニューも。

【ショッピング】◯

高級デパートもあるし巨大ショッピングセンターもあるし何でも揃う。

【スパ】◯

高級ブランドスパも街スパもピンからキリまで揃っているので、気分に合わせて選べる。

【物価】△

基本的な物価は安い。難点がイスラム教なのでアルコールが高めなこと。

【人懐っこさ】◯

とりたてて嫌な思いをしたこともないけど、特に感激した思いもないというのが個人的な感想。

【空港から中心部へのアクセス】◯

電車でアクセスできるので気楽。でも空港から中心部が意外と離れていて1時間弱かかる。

【どんな気分に向いてる?】

多民族国家なのでいろんな味やいろんな雰囲気を一度に味わえるのがクアラルンプールの特徴。気の向くままにテイストを味見したい時に。

あとはラグジュアリーホテル体験ならクアラルンプールが最強!日本では1泊1室5万円以上するラグジュアリーホテル(マンダリン、シャングリラ、リッツなど)が1泊1室2万円弱で泊まれるので、旅好きの間ではホテル天国といわれている。

【なにを目的にする時に向いてる?】

たとえばパクチーがにがてでタイやベトナムを敬遠する人でも、マレーシアはグルメの選択肢が豊富。

あとはおなじくLCCが飛んでいるバンコクと比べると旅費が安いので、思い立ってちょっと遠出感覚で行けるけど海外感が強いという観点ではクアラルンプールは強い。

【いつがベストシーズン?】

1年を通して常夏な気候なので、一応乾季・雨季という概念はあるようですがあまり変わらないそう。

シンガポール(シティ)

【グルメ】△

チリクラブなどのメニューも、ホーカーズという屋台村も、シンガポールらしさは存在するものの、まわりの東南アジアの国と比べて「ここじゃないと」は薄い。

【ショッピング】△

高級デパートもあるし目抜き通りなんて東京みたいだけど、いかんせん物価が高い…。

【スパ】△

こちらも選択肢はあるけれど、いかんせん物価が…。

【物価】×

アジアとは思えぬ高価格。

【人懐っこさ】△

特に愛想やおもてなしを感じることはないけれど、英語が通じるのが便利。

【空港から中心部へのアクセス】◯

MRT、バス、タクシーが揃っていて、30分もあれば中心部という距離もうれしい。

【どんな気分に向いてる?】

東京のようなシティなので、安心できるシティ感はだんとつかもしれない。治安もよく清潔でインフラも整っているゆえ、日本に近い感覚で東南アジア感を味わえるのはシンガポールかな。

【なにを目的にする時に向いてる?】

マリーナベイサンズのプール?(このプールは最高。宿泊してでも行ってみる価値はある。)

【いつがベストシーズン?】

3-9月頃がいくぶん過ごしやすい時期。


インドネシア・バリ島(リゾート)

【グルメ】◯

ナシゴレンやミーゴレンやガドガドサラダなどのインドネシア料理は辛くなくて日本人の口に合う。

【ショッピング】◯

主に雑貨やインテリア系やアート系を。

【スパ】◯

ピンキリだけど選べないぐらいに数も多い。

【物価】◯

リゾート地だけど日本人の物価の感覚からはいまだにまだまだ安い。

【人懐っこさ】◯

バリ島の人、観光客に飽き飽きしているかもしれないけどだいたいおだやかで人懐っこい。

【空港から中心部へのアクセス】×

タクシーで。

【どんな気分に向いてる?】

ひとくちにバリ島といっても、エリアによって雰囲気がぜんぜんちがう。

高級リゾートが建ち並んでいる観光客専用のようなヌサドゥア、雑多なローカル感のあるクタ、むせるぐらいの緑がまぶしいウブドなど、予算やビーチ/森などの好みに応える度量の深さがある。

直行できて日本人も多くてある程度観光客に慣れていてインフラも整っているリゾートだったら、バリ島かな。

【なにを目的にする時に向いてる?】

寺院や遺跡、棚田など、海以外の見どころも豊富。豊かな自然と歴史を感じられるので、ビーチだけではない多面的なリフレッシュを求める場合はバリが最適。バリ島に行く時は、まずなによりもホテルから旅をつくってほしい。ホテル自体、ホテルの場所によって、体験がまるで変わってくる。

【いつがベストシーズン?】

4-9月が乾季。日本の夏休みシーズンに乾季を迎えるので、夏休みは日本人が多い印象。

ベトナム・ハノイ(シティ)

【グルメ】◯

ベトナムは日本同様南北に長い国なので、北部・中部・南部と食事の特色が異なる。ハノイに行ったらブンチャンをぜったいに食べてみてほしい!!甘いつけダレにつけて食べる麺なのですが、ベトナムでも北部以外ではほとんど見かけず、日本でもほぼ見たことがありません。くせになるおいしさ。

【ショッピング】△

ベトナムの商業都市はホーチミンということもあり、高級デパートやショッピングセンターはないに等しい。市場は健在。かごバッグや刺繍などは市場で買えます。北部には今も少数民族がいて、それぞれの民族の刺繍なども北部の方が種類も数も多い。

【スパ】△

高級ブランドスパはほぼないかも。

【物価】○

物価は安く、首都ながらホーチミンやダナンより割安感あり。

【人懐っこさ】✕

ホーチミンやダナンよりさらにシャイな印象。

【空港から中心部へのアクセス】◯

タクシーで。

【どんな気分に向いてる?】

観光地で観光ではなくローカルな暮らしを感じたいなーというシティガールの願望に。

【なにを目的にする時に向いてる?】

観光地化しすぎていない場所で、あまり通じない英語でやりとりをして、昔ながらの商店街や市場に懐かしさを感じ、湖のほとりで地元民に混ざってぼーっとする、みたいな旅がしたい時にハノイはぴったり。

【いつがベストシーズン?】

10-4月が乾季ですが、10-11月と3-4月が過ごしやすい。というのもハノイは意外と寒さが厳しく、12-2月は日本の10月頃の肌寒い時期。


フィリピン・セブ島(リゾート)

【グルメ】×

肉肉肉!な印象だった。

【ショッピング】×

特にセブでなくては、という物はなかったかな。

【スパ】△

高級ブランドスパも街スパもあるものの、カジュアルなスパですら送迎とボディガードを備えているので、気楽に行くという気分になかなかなれず。。

【物価】△

安いのですが、クオリティもそこそこ感。

【人懐っこさ】△

特に感じず。

【空港から中心部へのアクセス】×

安心できる送迎必須。

【どんな気分に向いてる?】

20年ぐらい前のアジアのリアルさを感じてみたい時。

【なにを目的にする時に向いてる?】

アジアのビーチリゾートの先駆け的存在ではあるものの、正直なところセブ島をわざわざ選ぶ理由は思いつかないのです。。

【いつがベストシーズン?】

1-4月が乾季。

その他

プノンペン(カンボジア)、ヤンゴン(ミャンマー)、マニラ(フィリピン)、ジャカルタ(インドネシア)には日本から直行便が就航しています。


さくっと行ける都市、選び放題

シティもビーチも、寺院めぐりもショッピングも、観光もホテルステイも、どんな楽しみ方も選べるのが東南アジア。

8都市の概要をざっくり書いたのでもっともっとそれぞれに書きたいことはあるのですが、それはいつか都市ごとのまとめにて。