今の生活は好きだけど物足りない気も…

症状:よく言えば安定した毎日ではあるけれど……

月曜日から金曜日は朝7時に起きて、8時に家を出て、9時から18時まで仕事。

残業はときどき、スーパーか本屋かルミネかジムに寄ったりもするけどだいたいはまっすぐ家に帰って、かんたんにごはんをつくって食べたりお風呂に入ったりしてるうちに寝る時間に。

おだやかで落ち着いている時はちょっと仕事でうまくいかなかったり、楽しみにしていたはずのごはんがあんまりしっくりこなかったりすると、ふと「あれ、こういう生活をしたかったんだっけ」って思ったりしませんか?

単調だと感じる時あるある

  • 気づいたら毎日が会社と家の往復
  • 毎週末、家事してネットして録画見て昼寝して終わる
  • ごはんを食べる人が固定されている
  • 自分から誘うことがなくなった
  • イルミネーションなど季節のイベントや新スポットに行かなくなった

気分:つかのまのアバンチュールでも起きないかな

「今の生活は好きだけど安定してちょっと物足りないかも…しれない…かといっていきなり生活を変えるというより新しい感覚や刺激を感じられる何か、ないかな」

そんな気分の時は、日常と180度真逆の世界で苦労を買ってでもしてもいいかもしれません。日本では逆立ちしてもできない不便で不安で不可思議な世界で。

解決策:マンネリからの一時離脱トリップ

そんな気分にうってつけの国、あります。「このまま年をとっていくのだろうか…」「この生活に満足している自分でいいのだろうか…」とどこかで感じている時に、世界の広さを感じて今の生活の良さを感じる機会になる場所。

そもそも単調な毎日は何が単調と感じさせるのだろう?と考えてみると、ルーティーンが定まっていること以外に、共通認識のある予定調和が大きいなと思いました。

海外旅行で無意識のうちに前提としていること、たとえば…

  • 英語でなんとか意思疎通できる
  • 最悪マックがあれば大丈夫
  • とりあえずコーラ
  • お腹も楽だし動きやすいしワンピースかショートパンツでいいか
  • 旅の醍醐味は明るい時間からのビールでしょ
  • いいなと思ったらまずは値札見てから考えよう
  • Googleマップがあればどうにかたどりつけるはず

これらがあるはず。英語が母国語ではないアジアですら、この7つはふつうに大丈夫だろうと思ってしまいます。

ところが、この7つすべてが通用しない国があるんです。つまり、

  • だれかしらは英語が通じるだろう
  • マックはどこにでもあるだろう
  • コーラは万国共通だろう
  • 好きな格好で旅しよう
  • ビールはコンビニでも買える
  • 物には定価がある
  • 地図を見ればなんとかなる

こういう無意識の前提が、ことごとく前提ではない国。これだけテクノロジーも発展した世の中だからどこへ行ってもなんとかやれるだろう、という前提が思い込みだったことを痛烈に意識させられる場所です。この毎日で果たして自分は満足しているのだろうか…」と思った時に、今を客観的に見つめられるショック療法的な旅が叶います。

その国とは

日本からは乗り継ぎで17時間以上かかる遠い国、モロッコです。

生きているのかどうかあやしい、と我が身を案じるほどに、忙殺されているもしくは変わり映えしない生活をおくっていて、そこに危機感を感じている時に、とにもかくにもインパクトがすごいから、つまらない現実も自分のすべてだととらえている小さな世界も吹っ飛びます。

日本からの直行便はなく、中東(ドバイやドーハ)やヨーロッパ(パリ、フランクフルト、アムステルダムなど)を経由してやっと到着。

モロッコというとサハラ砂漠や映画にもなっているカサブランカが有名。それ以外にも実はものすごく見どころの多い国なんです。世界遺産は9か所と、アフリカ大陸では最多タイ。

たとえば世界遺産のひとつ、アイトベンハッドゥ。映画『アラビアのロレンス』『ハムナプトラ』『スターウォーズ』などのロケ地にもなったほど、荒野に突如出現するスケールの大きな要塞です。

この要塞のようにどんな風に建てたのか想像もつかない建造物や、歴史のなかで自然が醸成した峡谷、世界最大の迷宮都市、世界最大といわれる市場(スーク)、白とパステルカラーの家々がかわいい街など、特に各都市の旧市街が見ごたえ満載。特に、ピンクの街・マラケシュ、青一面の世界・シャウエン、サハラ砂漠は、モロッコに行ったら見逃せない場所トップ3に入ります。世界遺産以外にも、ここだけの独特の風景がありすぎる国。

モロッコの魔力

文化も宗教も景色も強烈に違っているのがモロッコ。日本のあたりまえがまったくあたりまえではない場所です。

  • だれかしらは英語が通じるだろう
    →公用語はアラビア語とフランス語。英語が通じる人は希少人材。
  • マックはどこにでもあるだろう
    →ある程度大きな都市ならあるけれど、結構レア。
  • コーラは万国共通だろう
    →アラビア語のラベルで売られている。でもコーラひとつ買うにも値段交渉……。
  • 好きな格好で旅しよう
    →イスラム教のため、手足の露出は厳禁。髪は隠さなくてもいいけれど、現地の女性は全身を覆う民族衣装を着ている率が高い。
  • ビールはコンビニでも買える
    →イスラム教のため、基本アルコールは売っていない。新市街にある大型スーパーで買えることもありますが、パスポート必須。
  • 物には定価がある
    →値札もなければ定価もなし。いくらですか?と聞いた瞬間から壮絶な駆け引き開始。
  • 地図を見ればなんとかなる
    →マラケシュのメディナ(旧市街)はいまだにGoogleマップに反映されていないそう。ガイドブックにも、細かい路地は書かれていません。地図という概念が存在しないのでは……。

つまり、あたりまえがあたりまえではないため、「物を買う」「市場を歩く」など日常に存在するふつうの出来事が全部、非日常に。

買い物や地図を見ながらの散策などあたりまえにできることがあたりまえにできない場所で「え、こんな世界があったんだ……」と感じれば感じるほど、普段の平穏な暮らしが恋しく、愛しくなってきます。

気軽にマックに行ったりコンビニでコーラを買ったり値段をいちいち聞かなくても値札があってぼったくられる心配もなかったり、そんな日本でのあたりまえに「なんてすごいんだ…!」と感動を覚えるように。

日常だと思っていた日々のささいな出来事を客観的に見てそのすごさを実感できるだけでも、モロッコの効用あり。加えて、日本ではそれだけのインフラが揃っているのだからすこしだけ冒険してみるハードルは高くないのではないかと思えてきたりもします。

普段だったら、知り合いがひとりもいないイベントに顔を出すのは勇気がいるし、「自分を奮い立たせてまで行く必要ないか・・・」と思ったりもするけれど、モロッコに比べたら言葉も通じるし嫌になったら電車で帰ればいいだけです。

平穏のすごさを実感しつつ、ハードルと思っていたことの非ハードル感に気づける、というのは、旅を終えた後の日常に一石を投じる大きな収穫になります。

モロッコいろは

万人におすすめできるかといったらそうではない、大層勧めたいけれどいざ行くと聞いたらあれこれ心配しちゃう、そんな国モロッコ。ざっくりまとめると……

海外経験は必要?

個人で行くならば、海外の秘境経験がある人の方が程度がわかってなじみやすい。英語が公用語ではない場所、中国や東南アジアの田舎などに行ったことがあるというのが最低限の耐用レベルな感覚。また、イスラム教の基本的理解は必須。お酒を飲まない、異性の接触に厳しい、牛肉は食べない、肌の露出は控えるなど、郷に入っては郷に従うのはマナーというより鉄則。シティでもリゾートでもない異空間なので、遺跡や異文化に抵抗がない人が適応しやすい。

どんな景色が見られるか

ピンク1色の旧市街に世界最大のスーク(市場)が広がるマラケシュ、青1色の街・シャウエン、世界最大といわれる迷路都市・フェズ、映画の舞台にもなった世界遺産・アイトベンハッドゥなど、どの街もあらゆる場所がタイムスリップした世界。異国という2文字では到底許容できない、時代を超えた世界が広がっている。出会ったことのない世界に身を置いてみるのが好き、というマインドにとてもとてもマッチする。

一生に一度はモロッコ

女性のひとり旅という点でも便利さでも、ヨーロッパやアジアの首都には遠く及びません。36か国訪れても、旅の難易度は今も1、2を争う高難度(ちなみに争っている相手はキューバ!)。

それでも、モロッコにしかない景色は何年経っても忘れられないどころか強烈な体験としてずっと記憶に居座り続けています。クスクスとタジンと牛肉か羊の串焼きぐらいという料理レパートリー、モロッコ男性からのセクハラ、気軽に飲めないアルコール、毎回の価格交渉、公共交通機関のなさ、清潔度など、思い出すとげんなりする体験が実は多かったのですが、逆にこれだけ鮮烈な国はほかにないともいえます。大嫌いで大好きな国モロッコ、こわいもの見たさで心して訪れてみてほしいなと思います。